今どきの若者を読み解く!『「今どきの若者」のリアル』を読んで考えたこと

ブックレビュー/書評
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「今どきの若者」のリアルとは?

図書館で偶然見つけた「今どきの若者」のリアル(山田昌弘 編著)。タイトルに惹かれて手に取ったのですが、読み進めるうちにどんどん引き込まれていきました。Z世代を中心とした若者の行動や思考を、統計データやインタビューを交えて多角的に読み解く一冊で、非常に興味深く、面白い内容でした。

本書は山田昌弘氏の編著であり、教育社会学や若者文化に詳しい複数の研究者たちが寄稿しており、それぞれの視点から若者の”リアル”を分析しています。専門家たちの知見が集結しているため、読みやすさとともに説得力があります。

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書籍概要・基本情報 📝

  • 書名:今どきの若者のリアル
  • 編著:山田昌弘(中央大学教授・家族社会学)
  • 出版社:日本経済新聞出版
  • 発行年:2023年
  • 構成:全5章・9名の専門家による寄稿

今どきの若者の変化を可視化する

本書では、Z世代を中心とする若者の行動変容が丁寧に描かれています。時代背景やテクノロジーの進化と共に、価値観や行動パターンは劇的に変化しています。

かつての若者像とは異なり、現代の若者は「目立ちたくないけれど、認められたい」といった複雑な承認欲求を抱えています。SNSの普及により、誰もが見られる/評価される環境に晒されているため、「頑張っていることを見せたいけれど、目立ちたくない」というジレンマがあるのです。

SNSネイティブが抱える葛藤

SNSを日常的に使っている世代にとって、努力や頑張りをアピールすることはリスクと感じられる場面もあります。実際に頑張っていても、それを過剰にアピールすると「かっこつけてる」と見られてしまう。それが怖いのです。そのため、今の若者は、努力したことを素直に伝える方が自然で誠実だと感じています。

ChatGPTとZ世代の文章力 ✍️🤖

印象的だったのは、Z世代の文章力の変化についての記述です。現代の若者は、SNSやネットの影響もあり、公的な文章を書く力がここ数年で飛躍的に伸びているといいます。これは、大量の情報の中から必要なものを選び、構成し直す”編集力”が高まったからです。

しかしその一方で、「伝えたい思い」が文章に乗りにくいという課題もあります。そんな中で登場したのが、ChatGPTのような生成AIです。若者たちは、すでに情報収集と編集を得意としており、そこにAIを活用すれば、感情を乗せた自然な文章が簡単に作れるということに気づいています。

AIに問う力=次世代のスキル

これから必要とされるのは、「文章をうまく書く力」ではなく「AIにどう問いかけるか」という力です。問いの立て方によって、AIの出す回答の方向性も変わるため、自分の意図を正しく伝えるためには、精度の高い問いが求められます。

この視点が非常に面白く、Z世代がChatGPTと向き合いながら試行錯誤している姿に肯定的な評価を与えている点が印象的でした。論文や企画書の作成も、「書く力」から「問いを立てる力」へとシフトしていくという考察は、今後の文章教育の方向性にも影響を与えることでしょう。

複雑な承認欲求を読み解く 🔍

若者の持つ承認欲求は、表面的には分かりにくいものの、非常に繊細で戦略的です。身近な人からの評価には敏感でありながらも、公共の場での目立ちすぎは避けたいと考える。だからこそ、努力や成功体験は「自然な形で共有したい」と思っているのです。

また、上の世代のように「努力を隠すことが美徳」とは考えず、実際に行った努力を事実として伝えることが、今の若者にとっては自然な行動です。無理に控えめを装うことは、かえって不誠実に見えるといった傾向も読み取れます。

若者の心を動かす言葉とは 💬

今の若者が尊敬するのは、「過去の実績」よりも「現在進行形で頑張っている姿」です。たとえ失敗しても、それを隠さずに「次は成功させたいから助けてほしい」と伝える姿勢が、むしろ信頼や共感を呼ぶのです。

これは、指導やマネジメントの現場でも重要な視点です。上から目線で向き合うのではなく、「同じ方向を見ている存在」として接することで、若者との信頼関係を築くことができます。

まとめ 🧠📖

『今どきの若者のリアル』は、Z世代の行動や価値観を、承認欲求、SNS、AIリテラシーといった多角的な視点から読み解いた一冊です。

ChatGPTなどのAIの登場により、若者たちはますます「情報編集+問いの力」を磨いています。Z世代に対して否定的なレッテルを貼るのではなく、彼らの特性を理解し、その力をどう活かしていけるかが今後のカギになるでしょう。

Z世代やChatGPT、そして承認欲求というキーワードに興味がある方には、非常に読み応えのあるおすすめの一冊です!📘✨

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